京都新聞より。
大津市で昨年10月、中学2年の男子生徒が自殺、いじめとの関連が指摘されている問題で、大津市や滋賀県など関係機関が対応に追われている。現段階では具体的な効果が見えにくい取り組みもあるが自殺を防げなかったことに全国的な批判が集中する中で、まずは着手を優先する格好となった。
滋賀県教委が11日に設置した二つの緊急対策会議は、県にも多くの批判が寄せられたのを受け、嘉田由紀子知事の強い意向で素早く設置が決まった。
だが、開催予定は7月中の2回だけで、初回は30分足らずで終了。「子どもの命を守ることを主眼とする」など、いじめ対策の基本となる趣旨の確認にとどまった。これに対し、県教育委員からは「命を守るのは当たり前。今までの取り組みを検証すべき」との指摘もあった。
各市町教委の意見をまとめる県教委は「まず県内で情報を共有し、具体策は今回の対策会議とは別の新たな体制で考えたい」とするが、具体的な論議が始まるには、しばらく時間がかかる見込みだ。
大津市議会が制定を目指す「市いじめ防止条例(仮称)」も同様だ。滋賀県警が11日に中学校と市教委を強制捜査したのを受け、2日後の13日には条例制定を目指すと合意した。
条例は再発防止やいじめ根絶を進めるのが狙いで、条例の中身を協議する政策検討会議の設置までは決まった。
ところが、会派間の事前調整が十分でなく、「12月定例議会での提案を目指す」とした目標について、この日は足並みがそろわなかった。
一方、大津市の越直美市長も12日、文部科学省に職員派遣を要請。その翌13日には平野博文文科相が「先行して1人はきょうにも送りたい」と意欲をのぞかせた。派遣された職員は、市の外部調査委員会の立ち上げなどのサポートが期待される。だが、結果的に派遣は翌週17日にずれ込んだ。市、国とも態勢固めより、取り組むスピードを優先したためとみられる。
その余波で、派遣要請は市教委にまったく知らされず、「新聞報道で知った」という市教委幹部も。そのことを記者会見で問われた澤村憲次教育長は、「教育委員会の所管内容についての派遣だとは思っていない」と答えた。