ある夫婦。
ある小説でのある夫婦の話。
「たとえば、結婚式に呼ばれるやろ、そうすると、何て言うかなぁ、ああ、あれは死
んだとやなぁなんて思うぞ。別に何も、若いモンが結婚するのを見て、女房が死んだ
ことを思い出すわけじゃない。ただ、引出物なんかもらって家に帰るやろ、そうすう
ると、『式はどうやったね?引出物はなんやろか?』なんて訊いてくる者がおらん。
もちろん訊かれたところで、『結婚式はどこも一緒』なんて、禄に答えてやりもせん
のやけど、それでもなんていうのかなぁ、引出物を玄関にボーンと置くだけじゃ、力
が抜けるってちゅうか、張り合いがないっちゅうか・・・」。
幸せは命有る限り。そう、命有る日常に何気ない日々に落ちている。